フィラリア症とは蚊が媒介する寄生虫感染症です。
フィラリアに感染している動物の血液中には、ミクロフィラリアという子虫が存在します。
蚊が、フィラリア感染動物から吸血を行うと、同時にミクロフィラリアが蚊の体内に摂取されます。
蚊の体内でミクロフィラリアが成長し、感染することが可能な段階まで成熟します。
感染幼虫を持った蚊がワンちゃんに吸血を行うと、フィラリア幼虫が体内に侵入します。
皮膚の下の脂肪や筋肉の中で数回の脱皮を経て、やがて血管に侵入し、最終的に肺動脈・心臓で成虫となります。
フィラリアの成虫が肺動脈に寄生すると、心臓への影響・呼吸器の影響、肝臓や腎臓への影響を及ぼします。
咳や腹水などの症状がはっきり現れる時には、すでに重症になっていることが多いのです。

フィラリア
図提供:ベーリンガーインゲルハイム様

一昔前までは、フィラリア症はワンちゃんの最も一般的な死因の一つとされていました。
現在はフィラリア予防薬が一般的に利用されるようになり、ほとんど見られることはなくなりました。
しかしながら、フィラリア症が根絶されているわけではありません。
現在も、予防を行っていないコの感染のリスクは、依然として高いままです。
したがって、ワンちゃんにとってのフィラリア予防はワンちゃんと生活をする上で、最重要項目の一つであると考えております。

フィラリアの予防薬は「体内の中に侵入したミクロフィラリアを血管に侵入する前にやっつける」お薬です。
使用方法や使用期間が決まっていますので、守るようにしましょう。
当院では剤型や投与方法によって、異なる種類のフィラリア予防薬をご用意しております。それぞれのワンちゃんに合ったお薬を一緒に選びましょう。

さて、「フィラリアの予防薬は『体内の中に侵入したミクロフィラリアを血管に侵入する前にやっつける』お薬です」とご説明致しました。
これは非常に大切なことで、万が一フィラリアに感染しているコにフィラリア予防薬を投与すると、血中の大量のミクロフィラリアが一斉に死滅し、ショック症状を起こすことがあります
したがって、フィラリア予防薬はフィラリアの感染がないことを確認した上で投与することが必要であると記載されています。
このため、フィラリア予防薬を処方する際には、一番最初にフィラリア感染の検査を行います。
検査は、少量の血液を採取して行います。同時に健康診断としての血液検査も行うことができますので、大変オススメです。


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フィラリアの「通年予防」、はじめませんか?(外部リンク)
犬のフィラリア症について解説しています。